5月の連休の1日を私たち家族は、バラバラに過ごした。子どもたちは、それぞれの友達と遊び、貧乏人のおぼっちゃんは近くの海岸へ、私は南部の山へ出かけた。
私は、いずれ両親から相続する小さい小さい山の場所の確認のため 山に登った。山歩き感覚で行った私は、大変な目に遭った。道などどこにもなく、父親にナタを持たされ草や小枝を刈りながら、木や岩をつかみ登っていくのだ。まるでランボーのようだった。頂上についても同じ道を辿って下りなければいけないことを思うと、気分が滅入った。それでも進むしかないので、何度も滑り落ちながら がんばった。本当に我ながらよくやったものだ。
家に戻って今日のサバイバルの様子をおぼっちゃんに話した。
「登り始めて30分たった時に足が滑ったんで、目の前にあった草を掴んだんよ。そしたらチクチクチクチク・・・・心臓が止まるぐらい痛かった。見る見るまに水疱ができて、真っ赤に手のひらが腫れてきた。チクチクチクチク・・・は、すっごい強うなるし、毒がまわって死ぬかと思ったわ。痛いし不安だったけど我慢するしかないけん、山を登って下りたんよ。ほんまに毒がまわったら困るけん帰りに病院行こかとおもたけど、祭日で診療費が高いけん、博物館に行ったんよ。刺さった草は、ちゃんと鞄に入れてあったけんな。博物館の学芸員さん呼び出して、草を見せて土地名と時間を伝えて名前と毒と教えて下さいって言うて、調べてもらった。『イラクサ』だった。死なんって言うてくれて安心したわ。」
その時、おぼっちゃんは何て言ったか?
やっぱり草の毒より、私の毒が強いんやなぁ・・・だって。
イラクサを栽培して、おぼっちゃんの布団に敷き詰めてやろうと本気で思ったわ。フン!
私の話もそこそこに、おぼっちゃんは自分の今日のことを話し始めた。おぼっちゃんは海岸に流れ着いたロープやガラクタや流木を拾いに行ったそうだ。玄関に、それらが並べてあった。(獲物を取ってきて見せびらかす猫のよう)離れてヒトデの日干しみたいなのもあった。「何、これ?」って聞いたら、「ヒトデ。テトラポットに張り付いていた。なかなか取れず、波は来るし、苦労したわぁ。」とのこと。50ccのオートバイの荷台に小ぶりの流木をくくりつけ、前カゴにヒトデの日干しやガラクタを入れ、1m50cmぐらいの長さの流木を載せ、帰ってきたと言う。
「オートバイも結構 載るなあ、侮れんなぁ。」が、おぼっちゃんの感想だ。
前にも1度同じセリフをおぼっちゃんから聞いたことがある。昔おぼっちゃんが、太陽と緑リサイクルの店で大きな大きなゴリラのぬいぐるみを買ってきた時だ。そのぬいぐるみは、本当に大きくて50ccのオートバイのカゴに載る大きさでは無かったのだ。おぼっちゃんは、そのぬいぐるみをオートバイの荷台に座らせ自分の腰に紐で、くくりつけた。帰り道、道往く人たちが皆ふり返って、おぼっちゃんをみて驚いたという。その時、「オートバイは何でも載る、スゴイなぁ。」と言っていたのだ。
おぼっちゃんに賞賛されるこのオートバイ、この先どんなものを載せられることになるのだろう? オートバイも大変だ!
お互い自分のことを言うのに夢中で、子どもたちのことは全然聞かずに1日が終わってしまった。ごめん。
