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(101)修理2

故障中の二槽式洗濯機の部品を取り寄せた。全く同じ部品が来るのかと思ったら、何種類か共通の部品のようで、配線をしないといけなかった。線を切るのは、爆弾処理班になったようで勇気がいった。失敗してもともとと考えて、7本の線を切り新しい線とつないだ。

結果は、見事成功!!  洗濯機の槽が回ることが、こんなに嬉しいものだと思わなかった。

私が洗濯機の修理に取りかかろうとしていた時、貧乏人のおぼっちゃんは、「オレ、体動かしてくるわ」とサッカーボールを持って出て行った。手伝う気なんてさらさらないようだ。まっ、私も当てにしたことなどないけどね・・・

帰ってきたおぼっちゃんに直ったことを伝えると、「すごい直ったでぇ。偉いなあ。オレはやろうとは思わんけど」だって。

その後も私は嬉しくて嬉しくて、もっと修理をしたくなったので、なにか壊れたものがないかなあと探していた。おぼっちゃんが目の前を通ったので、

「おたく、なおしてあげようか?」と聞いてみた。

「オレは複雑だから、なかなか修理は できんぞ」と、自慢げにおぼっちゃんが答えた。

下の子どもが、「簡単すぎて部品が無いんちゃう?」

同感である。

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(100) 網戸から

朝、貧乏人のおぼっちゃんは部屋の窓を開ける。網戸があるので、その網戸に簡易ロックをしてと私が言うが、おぼっちゃんは いつも忘れている。そうすると猫のロマーリオがチャンスとばかりに網戸を開けて外へ出て行ってしまう。

私:「また、ロマが脱走した。どして、ロックしてくれんの?」

おぼっちゃん:「あ~、わせとった。ごめん、ごめん」

私:「もうぅ、毎日おんなじこと言わせんといてぇ」

おぼっちゃん:「ロマが勝手に出て行ったのに、なんでオレが怒られなあかんの?」

この会話を毎日している。いい加減、嫌になる。

ロマとおぼっちゃん、実はグルなのでは?と思ってしまうぐらいだ。

またいつもの愚痴になってしまうが・・・・

私:「もぅぅぅ あんたらは、私が注意しだすとサッサと逃げて行くなぁ。」

おぼっちゃん:「けど、オレはロマみたいに脱走はせんぞォ」

私:「いっそ、脱走してくれた方が いいわ」 flair

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(99)くりかえし

市場から帰ってきて貧乏人のおぼっちゃんが、洗って店の外に干してあったトロ箱を魚の冷蔵庫の中に入れようとしたので、私が止めた。

私:「洗ってから 入れてよ」

おぼっちゃん:「綺麗で。洗って干してあったんやけん。」

私:「干してあったって、外なんやけん 土埃がついとうで。洗うわなアカンわ。」

おぼっちゃん:「ほうかぁ?」

まだ納得しないようである。おぼっちゃんは、物事に関心がないので こんなふうに衛生面での考えに欠けることが多々ある。その度に私は「それは違うだろう」と指摘する。家のことなら、目をつぶることもできるが仕事となれば別である。

おぼっちゃん:「はい、はい、もういいでぇ。」

私:「何でも言うてって言うわりに、注意したら 無視するんやなあ・・・おかしいなぁ?」

おぼっちゃん:「何でも言うて! 何でも怒って!」

あらっ? 

何でも言ってっていうのは、勝手に言ってれば・・・ってこと? いくら私が注意しても、おぼっちゃんは「また怒られた」と人ごとで、右から左へ聞き流すだけ~  

あ~ぁ。皐月の空の吹き流しとおんなじだ。

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(98)ようし

20年近く配達に行かせてもらっているお宅で、「私の実家は市内でね~」って話してたら、「えっ? お嫁さんだったの?」って言われた。

「え~~~~!!」そんなこと言われて こっちがびっくり。

「芸術が得意の手先が器用な人が養子で、お店にピッタリの人やなあって思っとったわぁ。」だって。

最近、店でもお客さんに よく言われだした。「ご養子さんだろぅ?」って。

だから私は言う。「こんなに動かんのが養子だったら、とっくに返しとうけど・・・」

貧乏人のおぼっちゃんは、黙々と下を向いて魚を切るのみ、電話が鳴ってもお客さんが来ても、「電話~。おきゃくさーん。」と私がどんなに忙しく手を動かしていても呼ぶ。おぼっちゃんは、自分のしたくない事は全部私に ふってくるのだ。電話ぞぉ~っていう間に自分が電話を取ったらって思うのだけれど・・・・こんな養子がいるわけないわ。

私が用事で店を空けている時には必ずお客さんが、「奥さんは?」と尋ねてくれるそうだ。 今は用事で出ていますと答えると お客さんは寂しそうに帰っていくとおぼっちゃんが言う。

乗っ取り成功である。scissors(でも、乗っ取っても何の得もない店なのよねぇ・・・)

通常、養子と呼ばれると嫌がる人が多いけど おぼっちゃんは違う。

養子と言われるたびにスゴク喜んでいる。(ちびまる子ちゃんの野口さんのようにクククと笑う)

養子→態度が控えめ→奥さんがキツイ→苦労して大変→同情してもらえる→オレは偉い。

こんな図式が、おぼっちゃんの頭の中で描かれるようだ。

養子と呼ばれないように もっとシャンとしようなんて絶対思わないのが、おぼっちゃんである。小学校や中学校の校訓で、「努力、根気、誠実、忍耐・・・」なんて言葉をみて何のこと言ってるかわからんと言う人でもある。このやる気のない店主のもと、今日もがんばって看板娘(?)として私は働くのだ・・・・

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(97)パンク

上の子どもが、夜10時過ぎに車のタイヤがパンクしたと電話をかけてきた。(半年ぶりに仕事が10時に終われたので 牛丼屋に寄り道をしようとしたら縁石に当ったらしい。)

え~~。私は、今からお風呂に入って寝ようと思ったのに・・・・貧乏人のおぼっちゃんは、とっくに酒飲んで寝てるし・・・・はぁ~~~~

一応、おぼっちゃんを起こして言ってみた。

私:「市内でタイヤがパンクしたんやって。どないしたら ええん?って電話かかってきたけど?」

おぼっちゃん:「え~~、オレ寝よんやけど。疲れとうし」

私:「私やって疲れとうわよ。」

おぼっちゃん:「オレ、行かなあかんのかぁ? え~~嫌やなぁ」

埒があかず、堂々巡りだ。挙句の果てに ふとんの中から「子どもの友達は、パンク直せんのかなぁ」と言い出す始末。

「もういいわ、私が行ってタイヤを交換してくるわ。」

子どもの車のタイヤは交換したことがないので、真っ暗の中スペアタイヤや工具を探すのも時間の無駄と思い、いつもお世話になっている整備士さんに電話を掛けて教えてもらった。そして、出かけようとしたら、おぼっちゃんが服に着替えて玄関に立っていた。「しゃーないけん、行くわ」だって。

おぼっちゃんは、飲んでるから私が運転した。おぼっちゃんは、自分の好きな音楽を聞きながら、朝が早いのにぃ~とか寒いなぁ~とか何とかブツブツ言っていた。

車に乗ってまで文句言っても仕方ないのに、うっとおしい限りである。子どもが困っていても、自分のことを真っ先に考えるのが、おぼっちゃんだ。このお考えはどんな場合にでも優先されるようである。

現場は、ホイルが飛びタイヤは見事にぺっちゃんこになっていた。おぼっちゃんと私はさっそくタイヤの交換に取り掛かった。車体の下に少しもぐって、「ここにジャッキを当てるんぞ。覚えとけよ」と偉そうに子どもに言いかけた時、「そこじゃないです、おとうさん」と声がした。おぼっちゃんの仕事はここで終わった。

私が、タイヤを交換するのを気の毒に思った整備士さんが、わざわざ来てくれたようだ。もう夜の11時である。本当にありがたいことである。整備士さんは、「僕がやります」と言って10分ほどでタイヤの交換をしてくれた。私は、この整備士さんの会社の簿記やパソコンの使い方の手助けを少ししている。そのお礼として、私の車が止まったときには助けに来てくれることとなっている。今回このことを守って来てくれたようだ。やはり普段から人には親切にしておくものだ。

帰りの車の中おぼっちゃんは、「オレは何しにきたんだろう。」と眠たそうだった。

そして車のバックミラーには、夜中に私たちを呼びつけた子どもが、牛丼屋のドライブスルーに並んでいるのが映っていた。

親が親なら子も子である。think

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(96)やってられないわ

私の友人と お互いの連れ合いの話題になった。

友人:「あれして、これしてと頼むとイヤ~な顔をして文句言うて、渋々動くんよ。どうせ動くんだったら、さっさと動けばいいのに~」

私:「いいでぇ、嫌々でも動いてくれるんやけん。うちや、絶対 動かんもん。」

そう、貧乏人のおぼっちゃんは動かない。

私:「いっつも『なんでも言うてよ。』って言うんじょ。で、頼んだら動かんのよ、最悪!」

友人:「ええでぇ。綺麗な、お口を持っとんやけん、『なんでも言うてよ。』って言うてくれて可愛いらしいでぇ。」

私:「なんや可愛らしいないわよ。綺麗な言葉や言わんでいいけん、動いて欲しいわ。」

友人:「言葉が大事じょ。動かんでも言葉が優しかったら自分で動いても いいし・・・」

私:「へっ! ほれだったら頼む意味ないでぇ。頼んで『ありがとう、また今度な』って言われてみぃ。腹たつじょぉ。『なんでも言うてよ。』や 二度と口にするなぁって思うわ。

ほれに、頼んでも してもらえんって わかっとうから、自分独りで一生懸命に用事を済ませた後『言うてくれたら、手伝うのに~~』と言われてみぃ、頭に来ると言うか もうええわって思うじょ。」

友人:「やさしいでぇ。『言うてくれたら、手伝うのに~~』や、うちのや言うたことないじょ。やっぱり可愛らしいわぁ。ほない 言われん。」

 辞~めた! 

おぼっちゃんは、いつも黙ってニコニコしてるから人当たりがいいのだ。多くの人に、いい人ねぇとよく言われている。実は話すのが面倒くさくてニコニコしているだけなのに、ねぇ。

やっぱり私が貧乏くじを引いている。

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(95)高飛び

下の子どもの学校で個人面談があったそうだ。子どもが、魚屋をしていると先生に言うと先生が話に食いついたらしい。

先生: 「ほぉ、僕は魚釣りが大好きだ。家の手伝いとかしてる?」

子ども:「はい、店番をしてます」

先生:「魚 さばける?」

子ども:「はい。3枚おろしができます」

先生:「へぇ。すごいなあ。なんの魚?」

子ども:「鯵です」

それを聞いた貧乏人のおぼっちゃんと私は、「え~~~あんたも。」と答えた。

忘れもしない・・・

上の子どもが中学生の時、文化祭で鰻つりがあるので先生が、「魚屋の娘は、鰻をさばけるか?」と聞かれ「はい、さばけます」と言ったのだ。

鰻に触ったこともないのに何故さばけるなんて言えるのだろうか?

そんな子どもの言うことを真に受ける教師も教師だと思うけど・・・

どうしてそろいも揃ってホラを吹くのか考えた。

原因はひとつ。やはり遺伝子だろう・・・・

貧乏人のおぼっちゃんが高校1年生の時、高飛びの得意な者が集まって飛ぶことがあったらしい。「飛べる者」と言う先生の声に、おぼっちゃんは「はーい」と手を上げたそうだ。高飛びのバーの高さがどんどん上がっていくなかで、おぼっちゃんは「パス」「パス」「パス」と言い続けたらしい。

何故か? 

実は、おぼっちゃん高飛びが苦手で あまり飛んだことがなかったそうだ。しかし入学したてで誰も自分のことを知らないので、〈ちょっと、オレはスポーツができるぞ〉ってことを、かましたかったらしい。(威嚇するって意味かなあ・・・?)まさか放課後実際に飛ばされるとは、想像しなかったようだ。その上、ギャラリーも多く焦ったおぼっちゃんの出た行動がパス作戦だったみたい。

パスもいつまでもは通用せず、ついに おぼっちゃんは飛ぶことになった。バーの向こうの多くの視線が自分を見ているのが、わかったという。

バーは見事に落ちた。

おぼっちゃんは、怯むことなく「今日は調子が悪いなあ」と言って、その場を後にしたそうだ。

ばっかじゃないの~

私は、後悔している。この話を結婚前に何故聞かなかったのかと・・・聞いていたら今の私は無かっただろうにと思わずにはいられない・・・・・

で、本題に戻るとホラの元は、やはり此処につながっていると思う。

今のところ子どもたちは、実際に魚を さばかされる場面に遭遇していないので、おぼっちゃんのようにボロが出ずにいる。このまま一刻も早く時が流れてほしい・・・

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(94)修理

二槽式洗濯機の調子が悪い。タイマー洗濯のツマミが馬鹿になったようだ。きっと歯車がちびた(すり減る)か、接触が悪いのだと思うので分解して直そうと思った。そのことを貧乏人のおぼっちゃんに言うと、「そうやなぁ・・・原因はそれだろうなぁ」と言いながらどこかへ消えた。

はぁぁ~~

まぁ、最初から当てにはしていないが こうも露骨ではねぇ・・・

それから私は洗濯機の分解に取り掛かった。ひとつひとつ丁寧に分解をするので時間がかかった。間で晩御飯を作ったり用事をしたりしながら作業を続けた。

おぼっちゃんは、「まだ、しよん? ごはん食べるよぉ~」とあいもかわらず能天気!!

私:「おたく、徳工の機械科卒業だろ。ちょっとは、やってみたら?私は商業科のに~」

おぼっちゃん:「あ~、オレは できん。機械科行ったんは、まちがいだったなぁ。おもしろうなかったわ」

そんな問題ではないと思うが・・・

本当におぼちゃんには役にたたない高校だったと思う。そのせいか母校は、今年無くなり新しく技術高校に生まれ変わったようである。(賢明だわ。)

その後、洗濯機はやはり部品の消耗によるものだから交換するしかないという結論に達した。部品を取り寄せて、ハンダ付けをして直そうかなと思っている。

ついでに、おぼっちゃんの回路も修正できるといいのになぁと思ったりもする。

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(93)不公平

貧乏人のおぼっちゃんは、いつも言うように自分中心に生きている。家族のことなど考えたことのないのに、他人様は良い人やなあとおぼっちゃんのことを言う。

子どもが小さい時に、いつもは、自分ひとりで家の前の運動場に行ってボールを蹴っているが、年に1回ぐらい子どもとボールを蹴ることがあった。そのたった1度を他人様は偶然見ていて良いお父さんやなあと言ってくれた。

まな板を削ってと頼んでも 今日は風が強いとか手が痛いとか言って削ろうとしないので私が削り、その後おぼっちゃんに家の中に入れさせた、そこを他人様が見ていて、偉いなあ休みの日もよく働くお父さんやなぁと言ってくれた。

自分の自転車の手入れをした後に、子どもの自転車に空気を入れてと初めて頼んだ時にも他人様が見ていて、家族の自転車の手入れまでする立派なお父さんやなあと言ってくれた。

良い、偉い、立派と 他人様は褒めてくださる。

本当にラッキーな男である。

私:「アンタは、ずるいなぁ・・・エエとこどりやなぁ・・・」

おぼっちゃん:「けど、オレが みんなに見てくれとは言ってない。たまたま見て言うてくれるだけやし・・・。まぁ オレの人柄がにじみでるんやなあ・・・・」

毎日ボロボロになって正味動いている私は、アホらしくて やってられない・・・

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(92)コンピューターの仕事

貧乏人のおぼっちゃんは、高校を卒業して大阪の会社へ就職した。会社を選んだ理由は、ひとつ、そこにサッカークラブチームがあったからだ。仕事は、コンピューター関係だったそうだ。もう約30年前の話。

子どもたちと私がパソコンを使っていろいろなことをしていると、横に来て「オレはコンピューターの仕事をしてたんぞ」と必ず自慢する。子どもたちに「また ホラ吹っきょんだろう。」と言われても、「オレはプログラムを作っていた。大きなニアックっていうコンピューターを使っとった。」と負けずに言う。

今、出来もしない自慢を聞くのがうっとおしいので、「だったら1人で、どうぞパソコンを使って好きなことすれば」と言ってみる。案の定おぼっちゃんは使えない。電源ボタンを押すのみである。使えもしないのに何故コンピュターの仕事をしていたなんて口に出せるのだろうか?不思議で仕方がない。

ずっと前におぼっちゃんの会社の上司が、「お前は仕事中は、さぼっていて夕方のサッカーの練習だけ真面目にやっていた。あの頃もしリストラがあったら、日本初のリストラは、お前のはずだった」と言ったことを思い出した。おぼっちゃんは、その程度である。

おぼっちゃんは、コンピューター関係で働いていたことが よっぽどうれしいのか、自分にはコンピューターの話題がそれしかないからなのか、コンピュターを勉強している外国人の友達にも必ずこの話をしている。彼らは、おぼっちゃんのいい加減な性格など知りもしないからThat's good ! と聞いてくれる。

同じようにニアックのことを話したら、「あ~~~。見たことあります。博物館で。」と言われていた。

さすがにおぼっちゃんも 時代を感じたのか 苦笑いをしていた。

おぼっちゃんがコンピューターの自慢話をするのも、そろそろ終わりかもしれないね。

※NEAC(ニアック)は日本電気が自社製コンピュータに使用していた商標。"

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(91)送り人

下の子どもがばあちゃん(私の母)と映画「送り人」を観に行った。ばあちゃんが是非観たいと言ったので、ばあちゃんに付き合ったようだ。私は、彼女を市内の映画館まで送って行って びっくり。もうすぐ送られそうな人達が長い列をなしていた。

あとで映画の感想を聞くと、ばあちゃんは「おもしろかった」と言ったが、子どもは「おもしろくない」と呟いた。理由を聞いて私と貧乏人のおぼっちゃんは、「え~、そりゃあ最悪」と同情した。

まずひとつめ。

席について観ていると、携帯電話のメロディがあちらこちらで鳴り響く。そして電源を切ることも席をたつこともなく、「今、送り人 見よんじょ。・・・・・」と年寄り特有の大きな声で話し出したそうだ。

ふたつめ。

ものすごくナフタリン臭かったって。久しぶりに上映する市内の映画館だから お年よりもお洒落をしてきたのだろう。子どもは、本当に苦しかったと言う。

みっつめ。

そこいらじゅうで、「えっっへっん」と大きな から咳が聞こえるし、「ス~ス~」と息をする音もしたらしい。字幕を大きな声で読む人もいるし、どう考えても笑う場面じゃないところで笑うし、泣くし・・・だったらしい。

感情の起伏は激しいし、怖いものは何もない世代の人と時間を共に過ごすということがどんなに大変なことか、子どもは身をもって知ったようである。それが命の尊厳を学ぶ映画であったことが何とも皮肉ねぇ・・・・

子どもは、おぼっちゃんに「うわぁぁぁ。オレ ほんなとこに金払ってまで行きたくないわぁ。時間の無駄やなあ・・もったいないなぁ」と軽く言われていた。

ばあちゃん孝行で我慢をしたうえ、おぼっちゃんにまで こんなことを言われ本当に気の毒としか言いようがない・・・

私なら映画館に来てた人+おぼっちゃんを、丸ごと送ってやりたいと思うけどね。

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(90)応対

下の子どもが私に聞いた。

「笑顔と愛想があったら、働くのに役にたつよなぁ」と。

私:「そう思うじょ。笑顔と愛想は、すごい大切と思うわ。私も笑顔と愛想だけで、ここまできた気がするわ。後は丈夫なことやな。」

子ども:「私は、『いらっしゃいませ。ありがとうございます』も、ちゃんと言えるし 愛想がいいけん、お店とかでも働けるよなぁ?」

私:「いけるよ。その年で 笑顔でちゃんと言えるんやけん大したもんじゃわ。未だに言えん人もおるしなぁ。」

子ども:「おっさんやなぁ。お客さんが来ててもずーっと下 向いたままやし。おっさんて、電話の応対もなってないよなぁ。」

私:「そうよ。ありがとうございましたを言い忘れたり、ありがとがしたって言うんやもんなぁ。」

子ども:「ありがとうございますを噛んで言えんのや商売人として最低やなぁ。また ちゃあんと教えないかんなぁ。」

下の子どもにまで駄目だしをされる貧乏人のおぼっちゃんである。

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(89)慣れ

世の中、不景気である。うちのような個人商店など本当に、いつ潰れてもおかしくない状況である。とにかく今日は食いつないだという綱渡り状態の毎日である。

今はヨーロッパに住んでいるインドネシア人の友人が時々電話をかけてきてくれる。彼女に日本はとても不景気で大変と話すと、「でもごはん食べれてるでしょ。だったら大丈夫」と言う。まぁ そうだけどねぇ・・・・

サブプライムローン問題からリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの破綻などによるアメリカの不況が飛び火して日本も最悪の状態になっている、インドネシアのご両親の生活は大丈夫?と尋ねると彼女は、「そうよ。心配して電話したら両親は、大丈夫。大丈夫。ず~~~~っと貧乏だから、変わりないよ。と言っている。インドネシアは1929年の世界恐慌からず~~~っと貧乏だからね。あの時もアメリカのせいよ。貧乏にも慣れるよ。」とのこと。

すごい、すごすぎる。

世界恐慌なんて中学の教科書で習っただけで何の実感もないもの。はぁ~としか言いようがない。

貧乏人のおぼっちゃんに、このことを伝えると、「ほぉ~。貧乏って慣れるもんなんか。すごいなぁ。オレも、もうちょっとやなぁ。インドネシアは、大変だ。」と、ちょっと上から目線。

おぼっちゃんは、貧乏とすでに仲良くしているようだが、私は貧乏を友達にはしたくない。 がんばって しっかり働こうっと。

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(88)定額給付金

役場から定額給付金の申請書が届いた。宛名が貧乏人のおぼっちゃんになっていたので、私は「おぼっちゃん宛に来ているのだからちゃんと申請書出してよ」と頼んだ。

おぼっちゃんは、「え~~~。できん。」と即答。

この人は、いつもそう。税務署、保健所、警察署、役場、銀行、学校からおぼっちゃん宛にどんな書類が届いても中身を見ようともしないで「できん」と言う。封を開けることもない。これで、半世紀以上も生きてきているのだから 呆れるほかない・・・

せめて、一生に一度の定額給付金の申請書ぐらい提出してもらおうと、「世帯主(申請者)の身分証明書と銀行のコピーも入れるんじょ。世帯主はアンタなんだから、よろしく。」としつこく言ってみた。

おぼっちゃんの返事は、「コピーや、したことないけん わからんわぁ。ほれにオレの通帳って あるんか?」

「あるよ。引き落としだけの通帳。決して増えることのないのが、なっ。」と私。

「ははは。ええなぁ、それ。 でも、できん。」と、おぼっちゃんも頑固である。

しばらくして、おぼっちゃんが、言った。

「わかった。世帯主を変えてきてくれ。」

・・・・・・・・・・rain

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(87)非紳士的

先日のWBCの試合後、「韓国メディアが日本のショート・中島の 2つのプレーを挙げて国際大会ではあまり見られない非紳士的なプレーと非難した」というのがあった。

私は、この「非紳士的なプレー」という言葉を ずいぶん前に貧乏人のおぼっちゃんから聞いたことがある。

おぼっちゃんは、400歳サッカーリーグで(今では呼び方が変わりシニアサッカーというらしいが、要は40歳以上のおじさんがするサッカー)ゲームをするのが楽しみのひとつである。第3者の私から見ると ええ年したおじさんもしくはおじいさんが、恥も外聞もなく個性丸出し(ジコチュウ)で1つのボールを奪いあう姿はなんともいいがたいものがある。面白いと言えば面白いけれど、なにもそこまでしてボールを取り合わなくてもと思うこともある。

WBCの国際的なプレーとおぼっちゃんたちの400歳サッカーのプレーを比べるのも失礼で気恥ずかしいが・・・・

おぼっちゃんがスローインする場面、おぼっちゃんは、考えたそうだ。味方にボールをスローインしても大抵相手方にボールを取られてしまう。だったら、スローインのボールをボーとしている相手チームの1人に思い切りぶつけて、跳ね返ってきたボールを自分がドリブルしていく作戦をたて、実行した。

ら、審判にピーと笛を吹かれ「それは紳士的行為じゃない。ファール!」

おぼっちゃんは、いまだに言う。「いい作戦だったのになぁ・・・・中島も非紳士的なプレーじゃない。オレは中島の気持ちがよくわかる。」

う~ん。そんなこと言ったって、相手にボールがわたったら元も子もないでしょう・・soccer

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