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(86)お出掛け

用事があって、久しぶりに貧乏人のおぼっちゃんと子どもと私の3人で出掛けた。途中でおしゃれな看板を見つけた。おぼっちゃんが、声を出して読んだんだけど・・・・

「ナツラ ゲラト? なんだろう?」

子ども:「はぁ? それって ナチューラ ジェラート だろ。」

おぼっちゃん:「あっ、そうか。ゼラートか」

子どもと私:「違う、ジェラート。

あいかわらず 「ジェ」が言えてない。おじいさんと居るみたい。」

私は、信号機の数が少ない近道を探すことを趣味としている。仕事で配達に出ているので、時間を有効に使いたいのである。目的地に昨日より1分でも早く着くと新記録が出たように嬉しく思う。

近道に興味がないおぼっちゃんは、何も考えず車を走らす。私が「こっちの道に行ったら、早いよ」と言っても、ボーっとしているので「あっ、通り過ぎた、残念。」となってしまう。たまに おぼっちゃんが、新しい道を選んで進むと必ずといっていいほど行き止まりになってしまう。今まで何度バックをしたことだろう。

このままだと いつか私の人生も行き止まりになるんじゃないかと思ってしまう・・・・・いや、もうすでに行き止まりかも。

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(85)ぼー

テレビアニメの名探偵コナンを観ながら、晩御飯を食べていた。

子どもと私は犯人が誰かを推理するのが好きなので、あれかなこれかなと楽しんでみていた。

貧乏人のおぼっちゃんに、「犯人は誰と思う?」と聞くと、

「オレはクレヨンしんちゃんが、好き。酒飲んでる時に コナンは頭が痛くなる。しんちゃんが、ええわぁ。しんちゃんは、おもしろい」とのこと。質問の答えには全然なっていない。

クレヨンしんちゃんが好きと言うわりに、ひろしとしんちゃん以外の名前を覚えられないのもおぼっちゃんらしい。

おぼっちゃんの性格がボーとしているので、登場人物の中では おぼっちゃんはボーちゃんだなぁと言っている。以前ボーちゃんが主役で、石を集めるのが得意だというお話があった。

これには家族一同、爆笑だった。happy02

おぼっちゃんも「オ、オ、オレだぁ」と言ったぐらい。

なぜかと言うと、おぼっちゃんも石を拾い集めているからだ。ボーちゃんのように石の知識があるわけではない。が、拾った石を使ってオブジェを作ったり絵を描いたりしている。

まさにボーちゃんだった。性格に加え趣味まで同じだったので本当に驚いた。

きっと鼻水を垂らすと完璧だ!

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(84)さくら

少し暖かくなってきたので、家の前の小学校の桜が綺麗に咲き出した。毎年この時期、桜を見ながら仕事ができるのを幸せに思う。

貧乏人のおぼっちゃんに、「綺麗に桜が咲いたなあ」と言ったら、「えっ? どこに桜があるん?」と言う。

信じられない、おぼっちゃんは生まれてから ず~~~~~~~っと ここで暮らしているのに。 

目の前にある桜の木を知らないなんて・・・・

毎年、桜が綺麗やなあって私が言ってるのに・・・

でも私よりきっと桜の木が1番 驚いただろうね

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(83)招き猫

商売において何の努力もしていない貧乏人のおぼっちゃんが、売上が伸びるにはどうしたらいいかと突然言い出した。それくらい景気が悪く うちの店もヒマだということである。おぼっちゃんが言うぐらいだから、よっぽどである。

「どうすればいいと思うん?」と聞くとおぼっちゃんは、真面目な顔で「猫に店の前で招き猫になってもらおう」と言った。

へっ?

(犬のクロのごはんの残りを食べに来る)「そと猫さんを使おう。ごはん食べよんやけん、恩返ししてもらおう。和歌山電鉄のたま駅長のように、家の前で招き猫の格好で座ってもらおう。こま犬の格好でもいいなぁ。売れるには これしかない。こうなったら猫でも何でも頼っていくぞぉ!」と言い切った。

おぼっちゃんが何事においても他力本願の姿勢を崩さないことは知っていたが、猫にまで頼る幅が広がっていたとは 気付かなかった・・・・cat

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(82)若大将

貧乏人のおぼっちゃんは、中学生のころ加山雄三の映画若大将シリーズを観るために映画館に通ったらしい。 

あの頃はおもしろいと思って、いっぱい映画を観たりレコードを買ったりしたそうだ。「今思うと、ありふれた話のしょうもない映画だったのになぁ。加山雄三はその後も絵を描いたり音楽を作ったりで大儲けして太っている、オレは騙された。あんなのに お祭りでお神輿を持って稼いだお小遣いを使って馬鹿だった・・・もったいないことをした・・・」と 昔を振り返るおぼっちゃん。

中学時代の田舎のおぼっちゃんは、ヨットやカッコイイ車に乗ったり、スキーやサーフィンをしたりと映画の中の見たこともない都会のおぼっちゃん生活に憧れていたようだ。

中学生を騙すひどい映画だったと言う貧乏人のおぼっちゃんは、年を経た現在 もちろん加山雄三の若大将のようにはならず(というか なれず) いい加減な男になっている。 

これはきっと若大将と同時上映だったクレージーキャッツ植木等の無責任シリーズが、おぼっちゃんの体質にピッタリだったんだと思われる。

♪スースー スーダララッタ スラスラ スイスイスイ~♪

(注)ちなみに私とおぼっちゃんとは年齢差があるので、これらの映画を私は観たことがない。

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(81)きみまろ

貧乏人のおぼっちゃん、ちょっと前まで綾小路きみまろがテレビに出ていても絶対見なかったのに、最近は「へぇ~ 結構おもっしょいでぇ」と笑うようになった。意外である。

また私の友人も30代の時は、「あんな下品な笑いは許せない。体のたるみや皺や老いを自虐的ネタにするなんて最悪」と言っていたのに40代を迎えた現在は「あんなに嫌いだったのに、最近笑ってしまうんよ。あ~、私も中高年の仲間入りをしたんだなあって、もう若くはないんだなあって。」と変わってきた。

「中高年、歯は抜ける、毛は抜ける、抜けないのは疲れだけ」
「温暖化対策より、奥さまの燃費を改善することが先決です!」

確かに子どもたちや若い人たちは、このネタでは笑わないものね。

私も含め あのネタにされているのは、決して自分ではない別の中高年の人たちのことと思っているからこそゲラゲラ笑えるのだと思う。恐ろしいことである。

あっ! おぼっちゃんが私や子どもに何を言われてもニコニコしているのは、やはり自分のこととして受け止めていないから?

うちの店も潜伏期間30年ぐらいかな? 綾小路きみまろのように、そろそろ売れるといいんだけどねぇ・・・

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(80)おとしもの

下の子どもが自分の財布が行方不明だと言う。聞くと1週間前から、わからなくなっているらしい。だれかさんそっくりのいいかげんな性格である。私は、責任を持って探し出すよう言った。

それでも子どもは、家にあるはずだからそのうち出てくるだろうと思っているのか一生懸命探したのは1日だけで、後はボーとしている。私には信じられない。お金を拾ったことはあっても、落としたことなどない。(少ない収入なのに落とすという出費など許されない。)そういえば、上の子どもも小学生か中学生のとき財布を落としたことがあったなぁと言うと、子どもが「落としてばっかりの3人じゃ」と笑った。

すぐに貧乏人のおぼっちゃんは「オレは落としてない」と言ったが、

子どもは「いつも記憶 落としてる」と返した。

そして物忘れのひどいおぼっちゃんが、「うまい! scissors」「うまいなぁ、スゴイ!ホンマうまいわぁ」と絶賛した。

私はおぼっちゃんに「アンタ、自分が けなされようのに褒めてどうするん?」

「あっ! そうやなぁ・・・」

その後、財布は車の中から無事発見された。あぁぁよかった。

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(79)カヴァー

貧乏人のおぼっちゃんは、早朝ラジオから流れた歌を1日歌う癖がある。(卵から孵ったヒナが1番に見たものを親と思うのと同様である。)

だいたいサッカー選手の名前以外は物覚えが悪いので、歌詞もメロディもいい加減で歌っている。歌詞とメロディが違うじょと指摘しても 「ええんよ。本人が気持ちよく歌ってるんだから、ほっといて」と言ってまた歌いだす♪

以前、おぼっちゃんのそんな鼻歌を元歌より先に聞いていた子どもは、修学旅行の飛行機の中で初めて元歌を聞いて すっごいびっくりしたらしい。♪~東京にも あったんだぁ~♪と歌詞は同じなのに全然違う、別の曲だったと。おっさんのは、ひどすぎるって。

おぼっちゃん曰く「最近、カヴァーが流行ってるからオレも福山をカヴァーして歌いよんじゃ」

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(78)発音

貧乏人のおぼっちゃん思わぬところで 子どもに笑われている。

歌゙番組にアンジェラ・アキが出ていたので、おぼっちゃんが、「アンジェラ・アキは、普段着で衣装代が掛からなくて いいなあ」と言った。が、その『アンジェラ・アキ』と言うのが、言えていなかった。私たちには「アンゼラ・アキ」と聞こえたのだ。おぼっちゃんに、「もう1回アンジェラ・アキと言って」と言い、言ってもらった。やはり「アンゼラ・アキ」だった。

それから発音練習が始まった。「ジェよ、ジェ。」「ゼ、ゼ、ゼ どこが違うん?」何度やってもおぼっちゃんの耳には ジェとゼが同じ音に聞こえるようだ。

おぼっちゃんは言う。「ごっつい 情けないなぁ。徳島では昔、学校の先生や年いった人が「『せ』を『しぇ』って発音しよって、よう笑おうたのに。『先生』を『しぇんしぇい』って言って。まさか自分が言えん発音があるとは・・・先生は完璧に言えるのになぁ。ごっつい年寄りみたいでなぁ。あ~~カッコ悪いなぁ。」

子どもが、諦めて『アンジェラ・アキ』のことは、『アンジー』と読んだらええわと言っていた。

「ジェロ  オブジェ  ポルシェ って 言うてみ?」

おぼっちゃんは、ゆっくり口元を動かせて発音した。

結果は、「ゼロ オブゼ ポルセ」だった。smile

おぼっちゃんは、

「ええ おもちゃ見つけたなぁ。

オレが悪いんじゃない、徳島のせいだ」と訳のわからないことを私たちに言い、「ゼロ オブゼ ポルセ」と練習に励んでいる。kissmark

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(77)おじいさん

85歳を過ぎたお客さんが店に来てくれる。何ヶ月に1度思い出したら来てくれるおじいさんだ。

「まだ生きとうぞぉ。死んだと思とっただろう。」と言いながら刺身を買いにきてくれる。この掛け声が貧乏人のおぼっちゃんと私は大好きだ。

おぼっちゃんと私は「うわっ、おじいさん生きとった。足、付いとうなぁ」と小声で話した。

私がおじいさんに、「そうじゃ、えっと見えんかったけん今回は死んだと思とったじょ。よかったぁ、店においでてくれて。」と言うと、おじいさんは、

「そうはいかん。まだ もうちょっと こっちでおる予定じゃ。体が まだ ほれっ、動くけんなぁ」と柔軟体操をして見せてくれた。

おじいさんが帰った後で おぼっちゃんは言う。「『死んだと思とっただろう』は、なかなか使えんセリフじゃ。命かけてのセリフやもんなぁ」

「自分も早く使って、受けたいと思とんだろう?」と私が聞くと、

「いやぁ、あそこまでいくには、まだまだ時間があるわぁ。」だって。

そう遠い話でもないと私は思うんだけど・・ね

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(76)じぃ~っと

そとねこさんが、サンマの発泡スチロールの空箱に入って寝ていた。ごはんも食べず、じぃ~っとしていた。その理由は少し前足を怪我しているから・・・・

それを見て貧乏人のおぼっちゃんが、「動物は偉いなあ。じっ~として治すんやなあ。」と言う。

「そうじゃ。静か~に、黙ってじっとして治すなあ・・・人間みたいに、あっちが痛い、こっちが痛い、あれが欲しい。これが食べたいとは、絶対言わんなぁ。」と私。

「あ~~ オレのことじゃ。猫が上かぁ。なさけない」

∼へぇ~ おぼっちゃんが自分で気付くなんて まぁ珍しい∼

(その後 そとねこさんは化膿止めを飲んで無事回復しました)cat

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(75)NEWS

テレビから午後7時のニュースが流れてきた。

【NEWSの錦戸亮 ( にしきどりょう )追突事故 で、 書類送検

貧乏人のおぼっちゃんはテレビから離れた所に居たので、音声だけを聞いたようだった。

そして、「えっ? にしきのあきらが事故?」と聞くので、

「違う、NEWSの錦戸」と私。

「あ~あぁ、テニスの男の子か?」:おぼっちゃん

「違う、それは にしこり」:私

「ニュースなんだろ?」:おぼっちゃん

「違う。NEWS。ジャニーズのNEWSっていうグループのにしきど。」もう、なかなか話が終わらないのでイライラしてくる。

「はぁ~。ニュース、ニュースって言うけん、ニュースと思ったのに。NEWSやいうグループ聞いたことないけん知らんわ。 漫才みたいやなぁ。ハハハ」

はぁ~。

NEWSの意味が通じた時には、肝心のニュースの中身の報道は終わっていた。

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(74)仕入れ

1月2月は、魚が少ない時期にあたる。毎日、市場へ行って魚を揃えるのが一苦労である。一生懸命買ってきても、お客さんが買いに来てくれるか、お客さんのニーズに合うかという問題がある。合わなければ、売れ残る。毎日、博打をしているみたいで 本当に商売とは難しい。・・・・と思っているのは、ご存知の通り 私だけ。

貧乏人のおぼっちゃんは、相変わらず気楽なものである。売れたら、良かったぁ。売れなかったら、まぁ しゃあないなぁ、明日は売れるだろう。こんな調子で何10年である。

でも、さすがに今日は驚いた。市場から帰ってきたおぼっちゃんが、「今日は市場に刺身用の魚が殆んど無かった。グレと鰤 どっち買おうかなあと考えた」と言ったので私は、「そりゃぁ 鰤だろう。  お客さんにはグレより鰤の方が知名度があるし、刺身でも切り身でも売れるしなぁ」と返答した。

「グレにした」:おぼっちゃん

「えっ? どして。明らかに鰤のほうが人気あるでぇ」:私

「ほなって、残ったら、オレは鰤よりグレの刺身食べたいもん」:おぼっちゃん

「へっ!」:私

何で朝の時点で、売ることより残って自分が食べることを考えるんだろう?

こんな お考えで仕入れをしているとは思わなかった・・・shock

仕入れも私が行ったほうがイイかも・・・・本気で考えてみよう・・・・

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(73)うるさいなあ

毎朝 自力で起きれない子どもに私は、1階から叫ぶ。「7時過ぎとうじょぉ。起きよ~」「7時半じょうぉ。はよ、起きよ~」「8時前じょうぉ。いつまで 寝とん~。 さっさと起きよぉ~」

午後に貧乏人のおぼっちゃんと子どもが、私が同じ部屋に居ないと思って話している。

「うるさいなあ。 毎朝、聞くぞ あれ。起きよ~っていうやつ」「そうよ、うるさいなぁ」「どうにか、 ならんかぁ?」・・・・

残念ながら、廊下に居た私には聞こえていた。

次の日 いつものように2階に向かって腹の底から叫んだ私は、おぼっちゃんに「うるさいなぁって いつも思っとんだろう。」と言った。

おぼっちゃんは、あっ 聞こえとったん、 しまった。また怒られる。・・・と小声で言った後

「いやいや綺麗な声やなあ と思とう」だって。

あ~ 今日も朝から力が入らない・・・・私。

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